ふたりしてお辞儀をして、小さな手で柏手を打つ。
その瞬間周囲の木々がざわめいた。

まるでふたりを歓迎するかのように、歌うように葉が擦れ合う。
だけど突然のざわめきは幼いふたりにとってちょっと怖いことだった。

木々に囲まれた境内は薄暗くて少しジメジメしているし、人の気配だってない。
木々の隙間から今にも化け物が飛び出してきそうな雰囲気がある。

今更ながら恐怖心が湧き上がってきて、優莉奈が俊介の手を握りしめた。

俊介も緊張しているようで、体が硬くなっている。
「もう行こうよ。お願いしたから、きっと叶えてもらえるよ」

震える声の優莉奈にそう言われて俊介は頷いた。
「そうだね。きっと大丈夫だよ」

ふたりはまたトテトテと歩いて来た道を歩いて戻ったのだった。