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「じゃあ、谷川さんが間違えて呼んだ名前は先輩だったんですね!」
休憩を終えて部署へ戻ってすぐ、優莉奈は根堀葉掘り話を聞き出されていた。

その間に俊介も戻ってきたので、優莉奈の話を聞きながら赤くなったり青くなったりを繰り返している。
「ってことはぁ、谷川さんの深層心理の中にいる人物は先輩?」

「そ、そんなわけないだろ!」
俊介が必死になって否定する。

その顔は耳まで真っ赤だ。
そんな顔されるとこっちまで意識してしまって、赤くなってるから困る。
「でも、実際に先輩の名前を呼んだんですよね? 他の女の前で」

指摘されて言葉に詰まる俊介は、顔を赤くしてうつむいてしまった。
「もう、この話は終わり! 俊介だって困ってるでしょ」

「えぇ~。これからが面白くなりそうなのに」

「マイちゃんは人の恋愛に首突っ込んで楽しまないの」
「はぁい」