もう何度もデートを重ねているのに気持ちに変化はなかったのだ。
もしかしたら好きになることはない相手なのかもしれない。

「あぁ、最悪」
こっちこそ最悪な気分で出社してきたのに、そう言ったのは俊介だった。

こちらも朝から顔色が悪くて全身から負のオーラを放っている。
見ているだけでこっちまで不幸になってしまいそうだから、優莉奈はあえて見て見ぬ振りをしていたのだ。

だけどこうしてあからさまに話を聞いてほしいアピールをされれば、さすがに無視できなかった。
「で、そっちはなにがあったんですかぁ?」

声をかけたのはマイちゃんだった。
マイちゃんは相変わらず怖いもの知らずというか、空気を読まないみたいだ。

「梓ちゃんに嫌われたかもしれない」