「先輩、今日はお肌が三割増しでクシャクシャですね。もしや化粧落とさず寝ましたぁ?」
ずばり聞かれてギクリとする。

「ついよ、つい。そういうときだってあるでしょう」
「ありますけどぉ、先輩の年齢になって化粧落とさずに寝るのは自殺行為ですよねぇ」

「わかってるわよ」
それでも昨日はどうしようもなかった。

自分の気持に気がついてしまってから、なにもする気力がなくなってしまったんだから。
好きじゃない人と一緒にいるから緊張するんだし、敬語をやめることもできないし、帰った後疲れ果てている。

そういうことだったんだ。
気がついた途端ストンッと腑に落ちた。

私はまだ一樹さんのことを好きになっていない。
じゃあこれから先好きになるのかと聞かれれば、わからない。