「大げさだなぁ」
とついこぼしてしまうけれど、一回のデートで5万円も支払ったことを思い出すと泣くくらい嬉しくなるのもわかる。

ただの財布としか思われていないのではないかと、本気で悩んでいたのだし。

《優莉奈:良かったね! こっちも、おやすみメッセージが復活したよ》

《俊介:あの神様本当にご利益があったんだな。願いを取り下げてすぐにこんなに変わるなんてビックリだ!》

《優莉奈:本当だよね。もう神様に願掛けするのはこりごりだよ》

そう返事をしてから、
もしも、と、ふと考える。

神様に願いをかけたことを思い出すことがなかったら、今頃どうなっていただろう?
一樹は私に謝ることがなかったかもしれない。

梓ちゃんも、自分から奢ろうとはおもわなかったかもしれない。

ふたりにとって私と俊介はただの都合のいい人間でしかなくて、本当にそういう扱いを受けていたかもしれない。