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神社の鳥居を抜けた瞬間、スッと心が軽くなる感じを覚えて優莉奈は立ち止まった。
後からやってきた俊介も自分の胸のあたりを手で抑えて驚いた表情を浮かべている。

「なんだか憑き物が落ちたような感じ」
「俺もだ」

足取りも、来たときよりも随分と軽くなっている。
この神社は本当に強いご利益があったのかもしれない。

それで、互いの恋愛に干渉してきていたのかも。
「とにかく行こう。明日は仕事だからもう帰らないと」

日はどんどん傾いて来ている。
ここから東京へ戻るにはまだまだ時間もかかる。

「そうだね。行こう」
ふたりはいつもの日常へと戻って行ったのだった。