大学を卒業してからすぐに就職したから、今27歳になっていた。
隣の席のマイちゃんは今年入社したばかりで、正直まだ学生気分が抜けていないようだ。

だけど自分が入社してすぐの頃だって似たようなものだったと、優莉奈は思い出して懐かしくなる。
大手お菓子メーカーに就職したといっても結婚も視野に入れていたから、毎日バッチリメークをしてきていたものだ。

自分の頃を思い出して苦笑いを浮かべていると、マイちゃんが顔を覗き込んできた。
「先輩どうしたんですかぁ? なんだか、梅干し食べたみたいな顔になってますよぉ?」

首を傾げて質問してくるマイちゃんに優莉奈は顔を引き締めた。
こうやって平気で失礼なことを言ってくるあたり、まだ優莉奈のこと先輩として認識していなさそうだ。

一応、毎日色々と教えてあげているのだけれど。
「ちょっと、昔の自分を思い出しただけ」

「へぇ? 先輩でもそういうときってあるんですねぇ? いつも難しい顔してるから、そういうイメージなかったですぅ」