しかし元々体が大きいため、その存在感を消すことはできていない。


「今井さん、もうこの部署にはいられないんじゃないのぉ?」


更に追い打ちをかける文音に、久美は大きく息を吐きだして鏡を取り出した。


バレたものはどうしようもないから、今度はいつも通りに振舞うつもりらしい。


けれど社内にいる人間の視線は容赦なく久美へと突き刺さる。


そんな中でいつも通り化粧をするのは難しいらしく、久美は何度もアイラインを引き直していた。


「今井さんがいなくなったら、今までどおりってワケにはいかなくなるよね?」


美穂もこれ見よがしに大きな声で言い始めた。


「ちょっと、2人とも……」


さすがに可哀そうだと感じた澄恵が2人をたしなめる。


「なによぉ、一番の被害者は澄恵なんだから、なにか言ってやりなよぉ」


文音に言われて澄恵は黙り込んでしまった。


確かに、久美へ言いたいことは色々ある。


だけど、今この状況で攻めるようなことはできなかった。


これじゃまるでイジメだ。