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 ーーピピピッ

 軽快なアラーム音により、バチッと目が覚めた。白とピンクで統一された部屋。見覚えのある光景。ここは、私の部屋である。

 アラームを止めるためにスマホに手を伸ばし、アイコンを右へスライド。音が止まり、ぽすっとスマホが布団に包みこまれる。

「夢、だったのぉ……!?」

 時刻は午前7時。平日で、毎日アラームをセットしている時間だ。どうやら、これまでの先輩とのことは……夢、だったらしい。

「まぁ、そりゃあそうか。先輩と私なんて、月とスッポン。雲の上のような人だもんねぇ」

 そんなことを言いながらむくりと体を起こした。ショックなのを少しでも和らげるために、独り言が止まらない。

 クローゼットを開け、パジャマから制服に着替えた。赤いチェックのリボンが特徴の制服。部屋から出ると、お母さんが用意をしてくれてるであろうトーストの香りが二階まで漂っていた。

 朝のこの香りがたまらなく好きだ。匂いにつられ、リビングへ行くと思ったとおり。トーストにバターが塗られていた。しかも、いつもならトーストとサラダとかトーストと目玉焼きだけど、今日はトーストとサラダと目玉焼きとウインナーまである。朝から豪勢だ。

「今日豪華じゃない?どうしたの?」

「ちょうど賞味期限が切れそうだったから」

 何か良いことでもあったのかと思ったけれど、現実的な答えが返ってきて勝手に「あぁ、そう…」と言いながら落ち込んだ。