大好きな妹が、実家が貧乏なせいでお金のために結婚した。


「お姉ちゃん、私、結婚する」


1ヶ月前、急にそう宣言した妹はすぐに家を出て行った。

実家は古い伝統だけある老舗旅館。

でも、実際はただの経営難の貧乏宿。

妹が有名なホテル事業を営む会社の御曹司と結婚し、うちには膨大な金額の支援が入った。

今は両親はその支援でなんとか旅館を建て直している。

妹は結婚式も挙げず、お互いの両親への挨拶は済ませたが、私はまだ妹の結婚相手に会っていない。

というか、妹が結婚相手に会わせてくれなかった。

「馬鹿みたい・・・」

私は実家を手伝っている「つもり」だったのかもしれない。

旅館の手伝いをして、経費削減案を考えて・・・それでも、経営難の解決は難しくて。

結局、家を助けたのは「妹」だった。