【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

「うわぁ、ベッドに大量の毒虫……気持ちわるっ! セレーナに同情するわ……ところでポール、貴方以外にこの現場を目撃した人間はいる?」

「いいえ、僕だけです。その毒虫は、この国では珍しい猛毒アカムカデだったので、被害の拡大を阻止するため、入室禁止にしてから駆除しました」

 ポールは、廊下で待機する同僚にセレーナを任せ、ひとりで毒虫を処理したという。

「冷静な判断ね。でも、大量の猛毒虫をどうやって駆除したの?」

「弱点である水をかけて動きを鈍らせてから、シーツに包んで裏手の庭で燃やしました。ですから一匹も逃がしておりません」

「アカムカデの弱点なんて、俺も知らなかった。すごいな、ポール」

 上官であるユーリスに手放しで褒められ、ポールは「へへっ」と照れくさそうに頭を()いた。

「恐縮です。実は僕、実家が商会を営んでいるので、他国の動植物や特産品に詳しいんです。原産国の方では、猛毒アカムカデは薬の材料として高値で取引されているんですよ」

「へぇ、そうなの。でも、いくら体に良いとは言っても、毒虫を食べるのは……私、ちょっと無理かも」

「俺も……」

 顔をしかめるベアトリスとユーリスを見て、ポールが「毒と薬は紙一重ですね」と暢気に言った。