令嬢は早口で捲し立てた後、ふんっ!と顔を背け、カツカツと苛立ち紛れの靴音を響かせながら去っていく。
セレーナのふりをしているから口を噤むしかないが、ベアトリスは少しだけ彼女に共感してしまった。
「みなさま、長らくお待たせいたしました。ルイザ王妃殿下のご登壇です──!」
司会者の合図と同時に華やかな入場曲が流れ、ホール奥の扉が一気に開け放たれる。
拍手喝采の中、きらびやかなドレスをまとった貴婦人、ルイザ王妃が姿を現わした。彼女は早々にスピーチを終えて降壇すると、一直線にこちらへ歩み寄ってくる。
黄金の川のような金髪に、赤薔薇のような深紅のドレス。真っ赤なルージュの唇を持ち上げ笑みを浮かべた王妃は、この場の誰よりも存在感があった。
ここにいるのが本物のセレーナだったなら、あまりの迫力に圧倒されてまともに話せないだろう。
現に公式の夜会記録を見れば、これまでセレーナが王妃相手に発した言葉は「すみません」と「はい」だけだった。
セレーナのふりをしているから口を噤むしかないが、ベアトリスは少しだけ彼女に共感してしまった。
「みなさま、長らくお待たせいたしました。ルイザ王妃殿下のご登壇です──!」
司会者の合図と同時に華やかな入場曲が流れ、ホール奥の扉が一気に開け放たれる。
拍手喝采の中、きらびやかなドレスをまとった貴婦人、ルイザ王妃が姿を現わした。彼女は早々にスピーチを終えて降壇すると、一直線にこちらへ歩み寄ってくる。
黄金の川のような金髪に、赤薔薇のような深紅のドレス。真っ赤なルージュの唇を持ち上げ笑みを浮かべた王妃は、この場の誰よりも存在感があった。
ここにいるのが本物のセレーナだったなら、あまりの迫力に圧倒されてまともに話せないだろう。
現に公式の夜会記録を見れば、これまでセレーナが王妃相手に発した言葉は「すみません」と「はい」だけだった。



