【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 最近まで極悪囚人に囲まれていたベアトリスには、この程度の嫌みは痛くも痒くもないが、気弱なセレーナはかなりのストレスを感じていただろう。

(私なら、こういう嫌みな子にはキッパリ言い返してやるんだけど、今はセレーナの真似をしなきゃ。毒舌は封印、がまんがまん……)

 
「ご心配をおかけして……すみません……」
 
 セレーナの皮をかぶったベアトリスがうつむいた途端、目の前の令嬢が勝ち誇るようにニヤッと笑った。

 その時、そばを離れていたフェルナンが戻ってきて令嬢を睨み付ける。

「おいお前たち、俺のセレーナになにを言った? 泣きそうな顔になっているではないか」

「殿下……! 違うのです、わたしたちは、セレーナ様を心配して」

「心配? セレーナの心配は俺がすべきこと、貴殿らには関係ない。──去れ」
 
 冷たく言い放たれ、令嬢たちは唇を噛みしめてお辞儀する。去り際、例の令嬢がベアトリスの真横で一瞬立ち止まり、小声で囁いた。

「泣くだけで殿下に守ってもらえて良いご身分ですこと。ご自分ではなにもなさらないわけ? ムカつく女」