【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 その後、みっちり一週間。
 セレーナの身代わりになるための特訓が始まった。

 口調から歩き方、仕草の癖に至るまで完璧に演じられるよう練習を繰り返し、さらにセレーナと周辺人物に関する情報を徹底的に頭に叩き込む。

 記憶力と演技力には自信があるの、楽勝よ!と思っていたのだが、さすがに一週間は短すぎた。


「さあ、俺の前でセレーナを演じてみせろ」

「まだ完璧じゃありませんわ。殿下、お願いですから、もう少し時間をくださいませ」

「却下だ。鉱山に逆戻りしたくなければ、あと一週間でものにしろ!」

「そんなぁ~。いったい一週間後に、なにがあるというのです?」

「母上の主催する夜会だ。そこで偽物だとバレなければ合格。以降も身代わりを続けてもらう」

「もし、バレたら……」

「即、鉱山送りだ」

 ですよねぇ~と諦め半分でベアトリスは鏡の前に立ち、フェルナンに怒鳴られながらセレーナのものまね練習を続けた。

 特訓の後、自室に戻ってからふと疑問に思う。

(あら? どうしてフェルナンは、身代わりの件を王妃様に伝えないのかしら?)

 現時点で影武者のことを知っているのは、当事者であるベアトリスとセレーナ。フェルナンと近衛副団長のユーリス、そしてセレーナ付きの護衛騎士ポールだけだ。

 ユーリスが用意してくれた分厚い資料を(めく)り、王妃に関する項目を読むと、答えはおのずと見えてきた。