早くもうんざりしていると、目を潤ませたセレーナが、フェルナンに抱かれながらこちらを見つめた。
「ベアトリス……お願いです……」
「なにかしら」
「フェルナン殿下を、取らないで。これ以上、わたしから、奪わないで……」
私から幸せな日々を奪った貴女がそれを言うの?と責めそうになって、とっさに口を噤んだ。
言葉を必死に飲み込むかわりに、無意識にきつく睨み付けてしまっていたようで、またもやセレーナが身をすくめる。
「おい、ベアトリス! セレーナが怯えているじゃないか」
フェルナンに咎められ、ベアトリスは「失礼しました」と言って顔を背けた。
視界の端では、セレーナが王子に守られながら、まるで物語に出てくる悲劇のヒロインのようにさめざめと泣く。
相変わらず気弱な異母姉にうんざりしながらも、よくよく観察すれば、彼女は随分と憔悴していた。顔は青白く、表情は暗い。元々どこか影のある女性だったが、さらに陰鬱さが増した気がする。
(命を狙われているんだもの。そうなるのも仕方ないわよね)
「ベアトリス……お願いです……」
「なにかしら」
「フェルナン殿下を、取らないで。これ以上、わたしから、奪わないで……」
私から幸せな日々を奪った貴女がそれを言うの?と責めそうになって、とっさに口を噤んだ。
言葉を必死に飲み込むかわりに、無意識にきつく睨み付けてしまっていたようで、またもやセレーナが身をすくめる。
「おい、ベアトリス! セレーナが怯えているじゃないか」
フェルナンに咎められ、ベアトリスは「失礼しました」と言って顔を背けた。
視界の端では、セレーナが王子に守られながら、まるで物語に出てくる悲劇のヒロインのようにさめざめと泣く。
相変わらず気弱な異母姉にうんざりしながらも、よくよく観察すれば、彼女は随分と憔悴していた。顔は青白く、表情は暗い。元々どこか影のある女性だったが、さらに陰鬱さが増した気がする。
(命を狙われているんだもの。そうなるのも仕方ないわよね)



