【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

「あとでご褒美に恋愛小説の新刊と高級スイーツを差し上げますので、もうしばらくご辛抱を」

 別にご褒美につられた訳じゃないけれど……今回ばかりは許してあげましょう。
 ベアトリスは渋々、小さくうなずいた。
 
(ふん! 命拾いしたわね、フェルナン! だけど、次に気色悪いことを言ってきたら、今度こそアンタの○○○(ピー)○○○(ピー)して、○○○(ピー)してやるんだから!)

 ベアトリスは気を取り直し、例の身代わり任務の詳細を尋ねた。

「影武者が必要なほど、セレーナは危険な立場にある、ということですわよね。いったい、どういう状況ですの?」

「お前が王都を去ってしばらくした頃から、セレーナが何者かに命を狙われるようになった」

 食事や飲み物に異物が混入していたり、深夜に窓の外に不審な人影を目撃したりすることもあったらしい。

 フェルナンは当初、セレーナに嫉妬した何者かによる嫌がらせだと思い、対応は騎士団に一任していた。

 しかし、ついに命を脅かす大事件が起きてしまう。
 
 ──ベッドに毒虫がばら撒かれていたのだ。

 近衛騎士を増やし万全の体制を整えているが、犯人は一向に捕まらず。
 セレーナは心身共に疲弊し、日に日にやつれて公務もままならない状況らしい。