【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 年齢以上に自分を大きく見せるため、虚勢を張り、わざと尊大に振る舞っていた部分もある。
 
 聖女仲間が流行(はやり)の恋愛小説や恋バナで盛り上がっているのを見るたび、口では「くだらないわ」と言いつつ、本心では会話に混ざりたくて仕方なかった。
 
「べっ、べべべ、別にぃ? ロマンチストじゃないわ! 恋愛小説とか恋バナとか、全然! まったく! これっぽちも興味ありませんから!」
 
「顔が真っ赤ですよ。ふふ、いいじゃないですか、可愛らしい趣味だと思いますけど」
 
「~~~! だから、違うってば! そっ、それで、駆け落ちじゃないなら、どうして私が王都へ戻れるの?」
 
「すみませんが、俺の口からは申し上げられません。詳細な内容は、フェルナン殿下が自ら説明なさるとのことです」

「フェルナン殿下が……?」
 
 
 フェルナン・サンドール第一王子。
 ベアトリスの言い分もろくに聞かないまま、この大鉱山に追放した張本人が、今更なぜ自分を王都に召喚するのか。

 正直、全く信用できないし、やっかい事の匂いがぷんぷんする。