【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 ほほ笑むベアトリスと対照的に、バッカスは顔をくしゃくしゃにしてむせび泣いた。
 
「そんな……たった、それだけのことで……」
 
 たしかに、彼からしてみれば、些細な言葉だったのかもしれない。
 
 けれどベアトリスは、大きな気付きと勇気を得られた。
 
 誰に告げる訳でもなく、自分自身に言い聞かせるようにベアトリスは呟いた。
 
「たった一言で傷つくこともあれば、逆に救われることもある。──言葉って、本当に大切ね」
 
 昔の自分は、そんな当たり前のことすら知らなかった。
 だから、他者への感謝や謝罪をおろそかにして、結果的に人徳を失った。
 
 
(でも、これからは違う。私は変わりたい。いや、変わってみせる)

 心の中でひっそり決意していると、ふいにバッカスが立ち上がった。
 
「あまり長居しちゃいけんし、わしはそろそろ行くとするかの。そこの騎士さん、面会を許してくれてありがとう。それじゃあ、嬢ちゃん、ゆっくり休むんじゃぞ」
 
 にっこり微笑んで、バッカスは部屋を出ていった。
 
 てっきり監視役のユーリスも一緒に立ち去るものと思っていたが、彼はこちらに歩み寄り、椅子に腰掛ける。