【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 バッカスはベッド脇の椅子に腰掛けると、ズズッと鼻を鳴らしてすすり泣いた。
 
「助けに来てくれて、本当にありがとう……嬢ちゃんは、すごい聖女さまだ」
 
「おおげさよ」
 
「いいや、大げさじゃない。わしは仲間たちから聞いたんじゃ。他の聖女さまが『無理だ』と言って見捨てようとする中、お嬢ちゃんだけが助けに来てくれたと。こんな老いぼれのために……感謝してもしきれんよ」
 
「だって、恩人を助けるのは当然でしょう?」

「はて? わしは恩人と言われるようなこと、したかの?」

 不思議そうに首を傾げるバッカスに、ベアトリスは自らの過去を打ち明けた。

「私ね、自分では一生懸命頑張っていたつもりなのに、今まで感謝されたり褒められたりすることが、あまりなかったの」
 
 神殿では周囲との間に壁を作り、人を寄せ付けず。
 ここに来てからも、仲間の裏切りと脱走計画の失敗により猜疑心(さいぎしん)が一層強くなり、ますます人付き合いが嫌になっていた。

 さらに追い打ちをかけるように神聖力も弱まり……。
 
 人生すべてに絶望していた時、バッカスはベアトリスを励まし、勇気づけてくれた。
 
 ──『アンタは本当にすごい聖女様だ! ありがとう』
 ──『まだまだ人生やり直せるよ』
 
 
「バッカスの言葉で、私は救われたわ。貴方は私の恩人よ、ありがとう」

「お嬢ちゃん……」

「ふふっ、ようやくお礼が言えたわ」