【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 神殿で再会してから謝ろうとしたけれど、今更なんと言ったら良いか分からず。
 そのうち顔を合わせるのが気まずくなって……。

(ユーリスは私の言動をたしなめてくれる、唯一の助言者だったのに……ひどい態度ばかり……嫌われるのも当たり前だわ……)
 
 ベアトリスは薄れゆく意識を必死につなぎ止め、ユーリスの服をギュッと握った。

「大丈夫、すぐに救護の者が来ます」

 心配そうな顔をした彼が、気遣わしげにそう言ってくる。
 
 ベアトリスは小さく頷くと、必死に想いを伝えた。

「ユーリス……ごめんね」

 か細いベアトリスの声を聞き逃すまいと顔を近づけたユーリスが、息をのんだ。

「むかし、傘をさし出してくれて、とても嬉しかったのに……拒絶してごめんなさい。ずっと、謝りたかったのに、なんて言えば良いか分からなくて……避けて、嫌な気持ちにさせちゃった」

 心のまま告げれば、ユーリスは群青色の瞳を大きく見開いた。

「……わたし、素直になれなくて、ごめんなさい」

 想いが溢れて、言葉と共に自然と涙がこぼれ落ちる。

「もういちど、最初からやり直せたらいいのに……」

 
(そうしたら、貴方は私を、嫌わずにいてくれたのかな?)
 
 意識が急速に遠のき、まぶたを閉じる。
 
 はらりとこぼれた涙を拭う手のぬくもりを感じながら、ベアトリスは深い眠りに落ちていった。