【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

「ねぇ、見て見て。元聖女さまが這いつくばって泥まみれの物を拾っているわよ。あはは! やだ、みじめ~」

「ふん、ざまぁみろだわ。大した能力もないくせに、偉ぶって他人を不合格にするからこういう目に遭うのよ」

 最初は楽しげに笑っていた少女たちだったが、無反応なベアトリスに興ざめしたのか、次第に険しい顔になっていく。

「ちょっとアンタ、なんとか言いなさいよ!」

 そう言われたので、ベアトリスは洗濯物を拾う手を止めて立ち上がった。

「これで満足かしら」

「はあ?」

「過去のことはお詫びするわ。正当な理由があって不合格にしたとはいえ、私も言葉足らずでした。先輩として、もっとはっきり言ってあげるべきだったわ」

 ベアトリスは、すぅーっと息を吸うと、毅然と言い放った。

「他人を見下し、嬉々として虐めをする、そんな性根の腐った人間は聖女にふさわしくありません。見習いのまま昇格できない? 自業自得よ! 悔しかったら精進なさい!」

 ハッキリもの申すと、彼女たちは面食らったように黙り込んだ。

(ふぅ、すっきりした)
 
 清々しい気持ちで洗濯を再開したベアトリスだったが、「ちょっと待ちなさいよ!」と叫ばれ、うんざりしながら顔をあげた。