【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 バッカスに励まされ、沈んでいた気持ちが浮上した。

(そうよ、私はまだまだやれる。人生挽回するために、次の一手を考えましょう)

 ベアトリスは、さっき食べた飴玉の甘さを思い出しながら、晴れやかな気持ちで「やるぞ!」と決意を新たにするのだった。

 
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(脱走がダメとなると、正攻法でここを出なければいけないわね。やっぱり模範囚になって減刑を狙う方向で……)
 
 今後について思案しつつ洗濯をしていると、ふと視線を感じた。

 顔を上げて見れば、純白のローブを着た少女たちが、こちらを見ながらクスクス笑って近づいてくる。
 おそらく研修に来ている聖女見習いだろう。

 少女のひとりが「お久しぶりですね、ベアトリス様」と声をかけてきた。

「もしかして、わたしたちの顔、忘れちゃいました? ひどいなぁ。わたしは貴女にいびられたこと、ずっと忘れられずにいたのに」

 ベアトリスはしばらく考え……ようやく少女たちのことを思い出した。

「貴女たちは……」

 目の前に立つ少女らは、かつてベアトリスの元で修行をしていた聖女見習いたちだった。

「お久しぶり、すぐに気付かなくてごめんなさい。でも私、貴女たちを虐めた覚えはないけれど?」

 問いかけると、見習いのひとりが恨みがましく睨み付けてきた。

「虐めた覚えはない、ですって? ハッ! わたしに『貴女には聖女の資格がない』って言って、昇級試験を不合格にしたじゃないですか!」