伯爵家出身の聖女として、そして王太子婚約者として、なに不自由ない生活を送っていたのが嘘のように……。
 今は薄汚れた服を着て、毎日馬車馬のように働かされている。
 
 
「もう耐えられない! どうして私がこんなことをしなきゃいけないのよ!」
 
 
 寒空の下で洗濯をしていたベアトリスは、とうとう堪忍袋の緒が切れて叫び散らした。

 山積みになった洗い物をひっつかみ、怒りのまま地面に叩き付け、布地がズタズタになるまで踏みつける。

 
 ベアトリスは自らの転落人生を思い返し、憎しみを込めて叫んだ。
 

「私は……私はっ、絶対、こんなところで終わらない! 今に見ていなさい! 私を陥れた奴ら全員まとめて、復讐してやるんだから!」

 
 これは、シンデレラストーリーの主人公(ヒロイン)になれなかった悪役聖女の、断罪から始まる人生やり直しの物語。