【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 入室を促すように、ルーカスがベアトリスの背中に手を添える。
 
 だが次の瞬間、彼は整った顔をしかめて「いててて!」と(うめ)いた。
 
 見れば、ユーリスが不機嫌そうな顔でルーカスの手の甲を思いっきり(つね)っている。

(え……なぜ?)

「兄上、みだりに触れないでください」
 
「お前だって、さっきベアトリス嬢の腰を抱き寄せていただろう?」
 
「俺はベアトリスの護衛騎士なので良いのです」
 
「へぇ~、騎士ねぇ~。へぇええ~」
 
 ルーカスが訳知り顔でニヤニヤする。
 
 それを一切無視して、ユーリスはベアトリスを居間にエスコートした。
 
 気さくな兄とクールな弟。
 
 容姿は似ているものの性格は真反対のようだが、気安い口調と軽口をたたき合う姿から、仲の良さが窺える。

 ベアトリスとユーリスが着席すると、正面に腰かけたルーカスが「それにしても、大変だったねぇ」とさっそく話を振ってきた。

「すでに大体の事情は聞いて知っているが、ベアトリス嬢の口から改めて詳細を聞いても良いかな?」
 
 ルーカスは相変わらず陽気な笑顔を浮かべているが、その眼差しは真剣そのもの。
 
 ベアトリスは姿勢を正して経緯を話し始めた。