【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 ベアトリスは(わず)かなひっかかりを覚えたが、文句を言ってフェルナンの機嫌を損ねたらまずいと思い、ひとまず口を挟まないことにした。

「ありがとうございます、殿下! ご褒美、楽しみにしてますわね!」

 満面の愛想笑いで礼を言うと、フェルナンは複雑そうな表情でうなずいた。


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 にこやかに笑うベアトリスと、それを見つめるフェルナン。
 
 ふたりの様子を眺めていたセレーナは通信をぷつりと遮断した。

 先ほどまでベアトリスの姿が映し出されていた鏡の中には、今はセレーナだけが映っている。
 ほの暗い目で一点を見つめる、死人のように青白く覇気のない自分の顔が……。