【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 ユーリスはいつも冷静沈着だから一見冷たそうに見えるが、実際は相手の心の機微に(さと)く、気遣いのできる優しい人だとベアトリスは思っている。

(こういうさりげない思い遣りが一番癒されるのよねぇ~)

 ユーリスの顔を見上げながら、ベアトリスはふわりと笑みを浮かべた。

「俺の顔になにかついていますか?」

「いいえ、なにもついてないわよ」

「では、なぜ笑っているのです」

「う~ん、ユーリスって、いい人だなぁって思って」

 心のまま素直に告げると、彼は驚いた様子でまばたきした後、視線をそらしてぶっきらぼうに言った。

「…………別に、普通ですよ」

「あれれぇ~、もしかして照れているの? ユーリスってば意外にウブなのね」

「君こそ。お茶一杯でほだされるなんて、案外チョロいんだな」

「チョロ……! チョロくないわよ、失礼ね!」

 腕組みしてフンとそっぽを向くと、ユーリスが目を細めてクスッと微笑んだ。
 そして、なにかに気付いた様子で「ところで──」と別の話題を振ってくる。

「マリアが毒虫事件の実行犯だと、よく気付きましたね。なにかヒントがあったのですか?」