【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 貴婦人の体裁を保つため、みっともなく泣いたり怒ったりせず、悲しみをこらえながら平静を装う王妃の姿に、ベアトリスは自身の母の面影を見た。

(私のお母様も昔よくこんな顔をしていたわ。実の息子に責められ疑われて、王妃様はひどく心を痛めているでしょうね)

 だがそんな母親(おうひ)の苦しみを、フェルナンは少しも気付いていないようだ。

「セレーナは、俺が守ってやらねばダメなのです! たとえ母上といえども、俺の愛する人を傷つけるなら容赦しない!」 

 彼は感情に任せて怒鳴り、両手で机を叩いて立ち上がった。

「母上が犯人なのですか? 黙っていないで、答えてください!」

 空気がビリビリ振動するほどの大声で、フェルナンが吠えた。

 王妃の瞳が悲しみに揺れ、唇が細かく震えている。

「もう……おやめください……!」
 
 これ以上、黙って見ていられなくなったベアトリスは、とうとう口を挟んだ。

「フェルナン殿下、もう、良いのです……。わたしのせいで、王妃様に、大切なお母上に……これ以上ひどいことをおっしゃらないでくださいませ」

「だが……」