【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 その日はちょうど定例会で神殿内は慌ただしく、王宮侍女のマリアが出入りしても何ら怪しまれなかったという。

 事件後、騎士団は神殿関係者を徹底的に調査したが、出入りした王宮侍女全員を捜査することは難しく、犯人(マリア)まではたどり着けなかった。

 マリアがすべて話し終えた直後、これまで沈黙を貫いていた王妃がおもむろに口を開いた。

「お前が毒虫事件の実行犯なのは分かりました。では、その後の暗殺未遂事件もすべてお前の仕業かしら?」

 マリアは首を大きく横に振り「いいえ! 違います!」と必死に無罪を訴える。

 どうやら、毒虫事件以降の騒動には一切関わっていないらしい。

 王妃は「ふぅん」と言った後、これ以上見たくもないといった様子で顔を背けた。
 控えていた騎士たちがすぐさまマリアを拘束し、部屋から引きずり出す。

「犯人逮捕、ご苦労様でしたね、セレーナ。しかし、あの宮廷侍女はあくまで実行犯。黒幕が他にいるとわたくしは思いますが、貴女の見解は?」

「わたしも……そう思います。部屋の鍵があらかじめ開いていたことから……真犯人は、わたしに近しい人間か神殿や王宮の関係者、もしくは……」

 あらゆる部屋の合鍵を自由に使用でき、なおかつ珍しい毒虫を海外から秘密裏に取り寄せられる財力と人脈のある権力者。

 
(そう、王妃様、貴女のような──)