【書籍1巻発売&コミカライズ進行中】悪女の汚名返上いたします!

 さすが若くして副隊長に抜擢された優秀な騎士。すべてを言わずとも動いてくれるから非常に助かる。

「かしこまりました。さっそく任務を開始します」

「お願いね。くれぐれも気をつけて」

「貴女に『気をつけて』と心配される日が来るとは……本当に変わりましたね」

 ユーリスが目を細めて微笑む。
 
 顔立ちが整いすぎているため無表情だと冷たく見えるが、微笑を浮かべれば途端に優しい雰囲気になる。

 ベアトリスは密かに、ユーリスの笑顔が好きだった。

(こんな些細な一言で微笑んでくれるなら、もっと前から『ありがとう』とか『気をつけてね』とか、たくさん言えば良かったな)

 ほろ苦い後悔と甘酸っぱい感情が同時にこみ上げる。
 
(今からでも、遅くないのかな……)

「ベアトリス様?」

「えっ? あっ、なんでもないわ! 早く行って!」

 とっさに命令口調になってしまい、言ったそばからベアトリスは後悔した。

(ああ、もう……! どうして私は可愛くない言い方しちゃうのかしら……)