爽やか王子様が、今日も私を口説いてくる。

「えっ篠原さんにりりちゃん!?」

元気すぎる声にりりが悲鳴のような声をあげる。

「あああ赤羽くん!?えっあっその、えと、こんばんは!」

私すっぴんじゃん!無理!と小さく叫んで、りりは顔を両手で隠してしまった。

私もなんだけど!?
しかもさっきからなんにも言わない目の前の男、お前はなんなんだ。


「………私もすっぴんだからあんまりジロジロ見ないでくれる?一条くん」


ぽかん、とした顔がはっとして、すぐに逸らされた。

「ごめ、つい見ちゃってた。その、えっと…お風呂上がりがその、だいぶ刺激強いかな…」

「ごめん聞き取れない、何?」

すると一条日陽は「なんでもないよ?」といつも通りの笑顔をさっと作り、ここ6階だよ、間違えちゃった?と言った。

心なしか、笑顔が怖い。


「そうみたい。待ってたところごめんなさい、このまま7階行くね」

「あっ全然いいから!どーぞどーぞ!」

赤羽くんがにいっと笑顔で言ってくれて、ほっとする。………なんか耳が赤いような?

そんな彼の目線は、まだ顔を覆ってるりりに向けられていて。

(これ、脈アリってやつじゃない?)

なんとなく、ハラハラしてるような照れたような目線が心もとないようにキョロキョロしてて。

けどりりと私はすっぴんであり、あんまり見られたくないのでさっとボタンを押した。

閉まる瞬間、ふと目が合った一条日陽は、ニコッと笑い、ひらりと手を振った。
先程と変わらない、いつも通りの笑顔。

(なんでこわいとか思ったんだろ?)

先程浮かんだ感情に内心ハテナを浮かべ、私は赤羽くんにすっぴん見られたーうわーん!!!!と大騒ぎするりりを宥めたのだった。