「聞いてる?美月ちゃん」

窓の外には爽やかな青空。
私の目の前には爽やかな笑顔。

彼はおかしな宣言をしたあの日からさらに1週間経った今でも、私にちょっかいをかけてくる。

「聞いてない」

「そこは聞いてるって言って欲しかったな」

この人に素を出してからというもの、私は“冷たい”と自分でもわかる程度の口調と態度になっていた。

それでもめげずに毎日来る彼の根性だけはすごいと思う。

今もキラキラ笑顔をキープしてるし。

「そう言えば美月ちゃんさ」

いつの間にやら名前で私を呼ぶ彼が、くん、と匂いをかぐ。

「ヘアオイル変えた?」

「………」

「おっ、当たった?」

私の無言を肯定と受け取り、ニコッと笑う。

なんでわかるのこの人。
りりでさえ私に抱きつくまで気が付かなかったのに。

ドン引きした私の顔を見て、一条は傷つくんだけど〜なんて苦笑いした。