姐さんって、呼ばないで



「あれ?電気ついてる…」

十八時少し前に帰宅すると、いつもはついてない照明が煌々とついている。

「ただいま~」
「あっ、おかえり~」
「どうしたの、ママ、そんなお洒落して」
「フフ~ン、今日はご馳走食べに行くわよ」
「へ?」
「小春、遅くなるとまずいから、着替えて来なさい」
「パパまでお洒落してる!」
「ママが買っておいた服が部屋にあるから、それに着替えて来てちょーだい」
「病院は?」
「今日は午後休診にしてあるのよ」
「聞いてないよ!」
「そんなことはいいから、早く着替えて来て」
「……もうっ」

珍しいこともあるものだ。

学会やシンポジウムとか、仕事で休診にすることはあっても、私用で休診なんてしたことがないのに。
もしかして、私の誕生日が近いから……?

二日後が私の誕生日で、二月二十七日、金曜日。
月末の金曜日ということもあって、病院はかなり混む。
だから、土日にでもどこかに食べに連れて行ってくれるのだと思っていたのに。

まさかまさか、平日の午後の診療を休診にしてまで時間を作ってくれただなんて。
言ってくれればもっと早く帰って来たのに。

自室へ上がると、ベッドの上に可愛らしい服が置かれていた。

ワインレッドのタータンチェックのスカートにオフホワイトのセーター。
ご丁寧にロングコートまで置かれている。

ママからの誕生日プレゼントだ。

パパからはいつも美味しいレストランでの食事を。
ママからは可愛いお洒落な洋服やバッグを。
一人娘だから、両親から溢れんばかりの愛情を貰って育った。

「お待たせ~」

両親がいるリビングへと。

「それじゃあ、行こうか」