ガッ! と、テーブルが床にこすれた音が楽屋に響いた。
目の前に突き出された圭の拳を左によけて、圭がそのまま後ろのテーブルを殴った音だ。
「テレビ局の備品は壊すなよ」

「ふん。そんなのいくらでも買いかえればいい」
圭が手を引いてそう答えた。
「ツインズの楽屋がボロボロだなんてバレたら大変だろうが」

俺はそう言いながら、圭の2発目を右へとよける。
そのままテーブルに右手をつき、テーブルの上に飛び乗った。
「丸本を呼んですぐに修復させればいい」

高い位置から顔面めがけた俺の蹴りを簡単によけて、圭はそう言った。
「丸本は万能じゃないんだぞ」
テーブルに上がってこようとする圭のアゴを蹴り、圭はその衝撃であおむけにドっと倒れた。

「アイドルの顔を攻撃するか、普通?」
圭は顔をゆがめ、顎をさすって上半身を起こす。

俺はテーブルから飛び降りて「今はアイドルじゃない」と、圭を見下ろして言った。
「……本気ってこと?」
「当然だ」
俺はそう返事をして、圭の足を踏みつけた。