BLAZEのアジトでとあるものを捲りながら、思い出に耽っていると、耳元近くで声がした。


「清、何見てるの?」


淡路澪だ。


三つ編みを揺らして、隣から覗き込んでくる。

僕は、一人ででかいソファを占領していた為、両側にかなりスペースがあり、その右側へ澪が座った。


少し前までは、僕の半径3メートル以内に他人、ましてや女が近づくなんて死んでもごめんと拒絶していたが。

女嫌いな僕にとって、澪だけは特別だった。


最初はそれこそ、昭和に生きてるような痛い系の自称真面目女で、虐め甲斐がありそうな人間だなとくらいにしか思っていなかった。


僕は正論が嫌いだし、真面目とかクソ喰らえな質なんだけど、

馬鹿みたいに立ち向かってくるコイツ澪を見てたらどうでも良くなった。


それに後から分かったことだけど、眼鏡を外せば割りと可愛いし、スタイルも悪くないそこそこ良い女だ。

気も回せるし、多少お花畑感があるのは否めないが愚かではないし。


とはいえ、ガミガミと説教をされたら苛つくこともたまにある。

そんな時、僕の手権力にかかれば瞬殺なんて正直楽勝なのに、澪に対してはそうする気になれなくて。
  

むしろ蟻みたいにプチッと潰してしまわないように手加減してしまう。
 

あ、からかって遊ぶのは楽しいから別だけど。



「は?無視?聞いてる?」