「か…じゃなかった。凪音くんが良ければ…」

"筧くん"と呼ぼうとしたのを慌てて訂正し、コクリと頷いた私を見て彼は嬉しそうに微笑む。

大好きな推しが嬉しそうにしていると、私も素直に嬉しくなって自然と頬が緩んだ。



その後、他愛もない話で盛り上がりながら、ゴミ捨て場に辿り着いた私達。

それぞれのゴミを指定された位置に捨て、ようやく任務完了だ。

「あれ?そう言えば…凪音くんって教室掃除だったっけ?」

ふと、凪音くんの掃除場所について疑問を抱いた。

そう言えば、いつも教室の方にはいなかったような…。

「俺は体育館だよ。たまたま掃除に行く途中で芽結が階段から落ちそうになってるの見かけたからさ」

「そうだったの!?ごめんなさい。掃除サボりになっちゃってないかな…」

オロオロと慌てる私に対して。

「気にしなくていいよ。春木が体育館掃除一緒だけど、うまくやってくれてると思う。ま、一応体育館の方に今から行ってみるよ。じゃ、芽結また教室で。階段気をつけてな」

それだけ言い残した凪音くんは、小走りで体育館の方へと去っていく。

「うん!ありがとう」

私もそんな彼の背中越しに再度お礼を言い、自分の教室へと戻ったのだった--。