「ううん、全然!私も復習になったし、またいつでも聞いてね。私がわかる範囲なら答えるし…!」

ヒラヒラと顔の前で手を振り、私は彼に向かって笑顔を向ける。

というか、私にとっては推しとのツーショットタイムはご褒美でしかないし、こっちがお礼を言いたいくらいだ。

私の笑顔を見て安心した様子の凪音くんは、サッと鞄を持って立ち上がる。

「ありがとう。そしたらまたわかんないとこあったら委員長に聞くよ。委員長も何か相談あったら、俺に言って。じゃ、また明日」

「う、うん…!ありがとう。また明日ね」

去り際に、なんとも嬉しい声かけをしてくれる彼に内心、私は飛び跳ねるくらいウキウキしていた。

だって、今後は凪音くんも同意の上で話しかけていいってことだもんね。

思わずニヤけそうになるのをどうにか堪え、彼の背中を見送っていた時、教室の出口の前でピタリと歩みをとめた凪音くん。

そのまま、何か思い出したようにくるりと踵を返したかと思うと…。

「委員長、一応言っとくけど、俺、お世辞とか言わないから覚えといてね?」

…!?

フッと不敵な笑みを浮かべた彼は、そんな爆弾発言を残し、颯爽と教室を後にする。

1人教室に残された私は、今の凪音くんの発言を理解するまでに数分の時間を有したのだった--…。