翌日の仕事はさすがに休むことになった。
梨江や晋也に伝えると《よく頑張ったね》とだけ返事が来た。
鏡の前で自分の顔を見てみるとまぶたが腫れてひどい有様だ。

なんだか一気に10歳くらい老けた印象を受ける。
「失恋ってこんなに老けるイベントなんだっけ」
そう呟いて自虐的な笑みを浮かべる。

久しぶりのキス、久しぶりに片思い、久しぶりの告白、久しぶりの失恋。
この一月ほどでこれだけのことを経験したのだから、多少老けても仕方ないことかと思い直した。

後はパーっと遊んで愚痴って忘れるだけだ。
独り身の梨江と晋也なら、朝まで付き合ってくれるだろう。

顔を洗って少しサッパリしてからリビングへ戻ると、お腹がグーっと音を鳴らした。
そういえば昨日の昼からなにも食べていない。
スマホで時間を確認するとすでに11時が過ぎている。

いくら失恋して食欲がないと言っても、さすがにお腹が空いている。
なにか作ろうかと立ち上がりかけたけれど、すぐにまた同じ場所に座った。
今日くらいは自炊せずに自分をとことん甘やかしてもいいんじゃないか?