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前回と同じように小さめの懐中電灯で足元を照らしながら駐車場までの道を歩く。
公園だからちゃんと舗装された道であるものの、ちょっと脇道へそれればむき出しの土になったりする。

昼間はそんな小道を歩くことも楽しいけれど、今はさすがに脇道にそれることはできなかった。
「今日は体調どうですか?」
何気なく、あの日の話しにもっていこうとしてそう訊ねた。

大和は照れくさそうに笑って「今日はなんともないよ。そう毎回体調を崩してたんじゃ、仕事にならないしな」と、頭をかいた。
「それもそうですよね」
千明も同じように笑う。

空を見上げてみると、今日の夜空は薄雲に包まれて月も星も見えなかった。
雲の上にはあるはずなのに見えないことがなんとなく心悲しい気持ちにさせる。
まるで、空が自分のほんとうの姿を隠してしまったように見えたから。

「それにしても、今日は上の空だったみたいだけど、大丈夫?」
そう質問されて千明はうつむいた。
大和はちゃんと千明の仕事っぷりを見ていたようだ。

そして小さなミスを連発していたことにも気がついている。