大和の車に乗ってアパートに帰ったことはあるけれど、今日はそのまま大和の暮らすマンションへ向かう。
車内は途中まで話題のテレビや仕事の話で盛り上がっていたけれど、マンションの駐車場に到着するころにはなんとなく静かな空気が流れていた。

「立派なマンションだね」
見上げないと最上階が見えないくらいの高層マンションは、1階にカフェやレストランが入っている。

中には住居者専用のジムなどもあるみたいだ。
「賃貸契約だから、それほど負担はないんだよ」

大和はそんなことを言うけれど、千明が今暮らしているアパートに比べれば何倍もかかっているに決まっている。
ふたりでエレベーターに乗り込んで8階で下りた。

カードキーをかざして玄関を開けると、広い室内が目に飛び込んでくる。
白を貴重にした部屋のようで、電気をつけるとちょっと眩しいくらいだ。
玄関を入ってすぐにダイキングキッチンがあり、その奥にはリビングがある。

部屋は他にも沢山あるみたいだ。
「すごい、モデルルームみたい」

千明が関心していると大和が「大げさだな」と笑った。
だけど本当に大げさなんかじゃなく、そう感じた。