エレベーターで最上階まで上がり、明るい日差しが射し込む広い会議室に案内される。

中では、既に何人もの人達が楽しそうにおしゃべりをしていた。

カレンが Hi ! と部屋に入ると、皆も次々とカレンに笑顔で話しかける。

早速カレンは、文哉と真里亜を皆に紹介した。

誰もが気さくに、ハイ!フミヤ、マリアと握手してくれる。

「Her last name is Abe. You see ? It's gonna be Abe Maria」

カレンが真里亜のフルネームを説明すると、皆は、ワオ!と驚いて盛り上がる。

Ave Maria〜と歌い始めた男性の声が素晴らしくて、真里亜は、え?もしやテノール歌手?と目を丸くする。

ひとしきり話が盛り上がり、ようやく落ち着いたところで、カレンが白髪の男性を見ながら文哉と真里亜に言った。

「彼がCEOのジョンよ」

えっ?!と、二人は驚いて固まる。

(まさか、さっきからいたなんて…)

てっきり、何人ものスタッフを従えて、あとから重々しく登場するものだとばかり思っていた。

慌てて挨拶すると、ジョンは気さくに、ニューヨークへようこそ!と握手を求めてくれる。

「さあ、適当に座って。お料理もどうぞ」

カレンに促されて、二人は大きな円卓の席に座った。

部屋の前方にケータリングの料理が並ぶテーブルがあり、皆がプレートに思い思いに料理を盛り付けるのをなんとなく眺めていると、Here you are ! と、二人の前にも料理を載せたプレートが置かれた。

「え?!すみません。Thank you」

慌てて真里亜は、笑顔で礼を言う。

いつになったらミーティングが始まるのだろうと、食事をしながらおしゃべりしている皆を見ていると、ジョンが文哉の隣に座って話しかけてきた。

楽しそうに笑いかけるジョンに、文哉も明るく答えている。

真里亜は、美味しくてヘルシーな料理を頂きながら、そんな二人の様子を見守る。

すると、真里亜の隣にカレンがやって来た。