ぎゅうって今度こそ抱きしめられた感覚がして、また耳元で甘い声がした。
「へぇ、紗羅分かったんだ。えらいね」
今までで1番低く、甘く、そして誘惑的な声にビクンと体が大きく震える。
恥ずかしさとわけのわからない気持ちよさに目の下に水が溜まるのが分かって。
「理乃っ、いじわるしないで……」
私の口出てきたのは語彙力皆無なそんな言葉。
言ってしまってから伝わらなかったかなって思い始める、と、
「あー、俺の負け」
「……え?」
顔を片手で覆った理乃の言葉に驚く。「負け」って……。確かに私も理乃の誘惑に負けないよう頑張ってたけど……。
「紗羅が俺にちょーだいって言うの待つつもりだったけど無理。エロい声だすし、しまいにはこっちを欲情させるような顔するし」



