変わった理乃の表情を逃すまいとカメラが連続でシャッターを切る。
「理乃くん、いい感じだよ〜!この調子で笑ってみようか!」
監督さんの言うことなんかそっちのけでまだ私の方を見てる。お願いだから笑って!
「理乃〜!紗羅ちゃんが理乃のこと大好きすぎて困ってるんだってー!」
「え、堀江くんっ!?」
さっき言ったことを理乃に伝える発言に大きく反応してしまう。しかし、その発言を聞いた理乃は、
「へぇ、嬉し」
本当に嬉しそうに笑ったのだ。
その笑顔はいつも私にむけてくれるもの。
でも、「彼女」に向けるような視線を見たことがない人達しかここにはいない。
必然と、それを見た現場は騒然となる。



