あれ……? あの子、どうしたんだろ……。

 ある日の朝、学校に来てぶらぶら散歩していた私は気付いた。

 非常階段に腰かけて、うずくまっている女の子が居る事に。

「あの……ど、どうしたの? 体、しんどい?」

「……ふぇ?」

 はっ……よ、良かったんだろうか。こんな勝手に声かけて……。

 もしかしたら見られたくないかもしれないし、スルーするのが正解なんじゃないか。

 なんて思ったけど時すでに遅し、彼女の瞳はバッチリ私を捉えていた。

 ……わっ、超可愛い子だ。

 私を見つめている彼女はふわふわのボブにカチューシャをつけていて、その時にふわっとフローラルの香りがした。

 瞳もとても大きくて、睫毛も長くて、手足もすらっとしていて……お人形さんって言葉がふさわしい子だ。

 奈來ちゃんといい勝負をしているんじゃないかってくらい、可愛らしい女の子。

 リボンの色が赤色だから、きっと一年生。

 そんな彼女は、うるうるとした瞳で今にも泣いてしまいそうだった。

 だからつい、口を突いてこんな言葉が。