それに私、バカでもアホでもないしっ……!

 た、多分……。

「なんか、センパイってそーゆー雰囲気になっても天然炸裂しそう。」

「? そーゆー、ふんいき? それってどーゆー雰囲気なの?」

「……。」

 えっ、ついには無視ですかっ……。

 分からなかったから聞こうとしただけなのに、何がいけなかったんだろう。

 そう思ったけど、やっぱり私には分からないし知らないし。

「お菓子作りも、無理に仲良くしようとするのもそーだけどさ……」

 ……?

 おもむろにそんな言葉を始めたかと思うと、谺君は私の手を引っ張ってぐいっと起こして。

 ソファの上に乗ったまま、続きを口にした。

「苦手な事はするもんじゃないよ。桜庭センパイ。」

 苦手な、こと……。

 確かに私は、お菓子作りも人と仲良くしようとするのも得意じゃないけど。

 ……私だって、頑張ってみたいんだ。

 ずっと苦手から逃げちゃ、ダメだもん。今の自分に満足なんて、しちゃダメ。

 もっともっと頑張って、誰からも認められなきゃ……私の存在価値が、なくなる。