「じゃセンパイ、俺こっちから行くから。センパイはちゃんと大通りから行きなよ。」

「わ、分かった!」

「それと、今日は例外だったけどいつもは一緒に登下校しないからね。分かっといて、そこ。」

「うんっ! 今日、ほんとにありがとっ。」

 谺君はそれには何も返さず、身をひるがえして小さな道を歩いて行ってしまった。

 その背中を見送りながら、きゅっと下唇を結ぶ。

 よし、行くかっ……!

 谺君にたくさん迷惑かけちゃったから、学校に行くまではちゃんとしなきゃ。

 そう思って、大通りへと足を向ける。

「あ、帆乃ちゃん! やっほ~っ!」

「奈來ちゃんっ! おはようっ!」

「久しぶりだねぇ帆乃ちゃん。元気してた?」

「もっちろんこの通り! 奈來ちゃんも元気そうでよかったっ。」

 実は今日は、秋休みが明けた翌日。

 といっても秋休みは三日しかなかったから、秋休みらしい休みではなかったけど……あはは。

 今日も今日とて我が親友、花摘奈來(はなつみなくる)ちゃんは可愛い。超可愛い。