末恐ろしい、とはきっとこの事だ。

 リアルに声が出そうだったけど、なんとか留まる。

 けど私の心臓は、バクバクそのものだった。

 緊張とか、ときめきとか、生温いものではなくて。

 ……ただただ、これからに警戒していた。

「……よ、よろしくです……こだま、くん。」

「ふっ……センパイ笑い取りに来てるよねそれ。」

「そ、そういうわけじゃないです!」

「ふーん。俺にはそうとしか思えないけどね。」

 や、やっぱり失礼さんだっ!

 そう思わずにはいられなくって、むくっと膨れてみれば。

「……はー、センパイほんと良い性格してるね。」

 なんて、またもや笑われる始末。負のループじゃんこれ、と感じたのは仕方がない。

 もう諦めよう、きっと私が何をしたところで彼は全て笑ってくる気がしたから。

 ……そんなこんなで外で木枯らしが舞っている季節、私に婚約者ができました。