現在地・自分の部屋。

 ただ今、私は大人しく土下座をしています。

「ごめんなさいは?」

「……ゴメンナサイ。」

「誠意、感じられないんだけど。」

「……だって込めてないもん、誠意。」

「…………ふはっ。」

 何が面白いのか、頭上から気の抜けた笑い声が聞こえる。

 何故、私は土下座させられているのか。

 何故、私は謝っているのか。

 理由なんて、ないはずなのに。

 ただ彼のプリンを勝手に食べてしまっただけ、なのに――……。

「それが原因だって言ってんの、こっちは。」

「あれ聞こえてた?」

「……はぁ、言われなきゃ分かんない?」

「分かんない。」

 彼の言いなりになりたくない私は、極力反論する。

 そうしなきゃ、すぐに丸め込まれそうで怖かった。

 少しでも反抗する意識がなきゃ、いずれ支配されるんだろうって思うから。

「……謝る気がないんなら、父さんが買ってくれてるケーキ全部食べるけど……いいの?」

「ごめんなさい。」

「何だ、謝れるじゃん。」

 最初から素直にそうしとけばいいのに。