邸宅に到着すると、中から出てきて士貴様が出迎えてくれた。


「おかえり、紗梛さん。俺より遅いから心配したよ」

「ただいま帰りました、士貴様。出迎えありがとうございます」


 士貴様は私に微笑み「今日の格好も可愛いね」と頭を撫でた。


「……あら、私には何もないのかしら?」

「お帰りなさい、母さん」

「はい、ただいま。もう、可愛いお嫁さんに夢中なのね!」


 郁世様はそう言うと、先に屋敷に入って行った。すると士貴様は入るように言い肩を抱かれた私は鼓動が早くなるのを感じながら屋敷の中に入った。

 私は与えられていた部屋に戻り、着替えをするとすぐに夕餉の時間が来てお呼びがかかった。春を伴い食堂に行く道で士貴様が迎えに来てくださるところだったらしく、一緒に食堂へ向かった。