「ん…」




 組んだ腕を顔の下敷きにしている。

 いつの間にか、私は寝ていたみたいだ。


 体を起こすと、()きかけの宿題があらわになった。

 計画的に進めているけど、その量は夏休みらしく、まだ膨大(ぼうだい)に残っている。




「夢…?」




 なつかしい夢だった。

 私が幸村くんに恋をした瞬間、つまるところ、中学2年生のときの記憶だ。


 あれから、もう2年が経つ。

 私は高校生になって、初恋の彼とは会えなくなってしまった。

 連絡先だって交換できないまま、学校が別れてしまったんだ。




「…」




 いいかげん、幸村くんのことは忘れなきゃな…。

 でも…。


 いまだに幸村くんのことを考えると、胸がドキドキする。

 夏休み、なにしてるんだろう、とか、気づいたら恋に頭を支配されているし。