前から玲香の声がして、バッと手を離した。
玲香は私に近づいて、となりに幸村くんがいることに気づくと、「あれ」とつぶやく。
「おじゃまだったかしら?」
「そ、そんなことっ!」
「これ、2人にあげるからごゆっくり~」
「いや、俺は…!」
玲香は持ってきた花火を私に押し付けて、さっさと来た道を戻ってしまう。
2人で残されてしまった私たちは、ゆっくり顔を合わせて、やっぱり同時に目をそらした。
「…あ、あの、幸村くん…花火、しましょうか…」
「うん…」
押し付けられたのは、先がざらざらした花火と、ライター。
2本ある花火を幸村くんにも渡して、おっかなびっくり火を付けようとすると、「俺がやる」とライターが手の中から抜き取られる。
「…あのさ、ひとつ聞いてもいい?」
「は、はい、なんですか?」



